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悲歌
Elegy
2024
Incense of words to keep the
feelings from fading away.
原民喜/悲歌

濠端にはや緑さししぐみ
雨霧に包まれて微笑む空の下
水ははつきりと たたずまひ
私の中に悲歌をもとめる
すべての別離がさりげなく とりはかされ
すべての悲痛がさりげなく ぬぐわれ
祝福がまだ ほのぼのと向こうに見えているように
私は歩み去らう
今こそ消え去つて行きたいのだ
透明の中に
生き難さを抱え,傷ついてもなお純粋さをつらぬいた稀有な生涯をおくった、広島の詩人、原民喜。このお香は、彼の祈りを風化させず、慈しむために作られました。



『悲歌』は原民喜が亡くなる直前に書かれた詩です。このお香に火をつけるということからは死を、残される香りからは生を彷彿とさせます。



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